下道で神戸を一直線に走る。
準備していたタイムテーブル資料やら着替えのTシャツも余分目でいつものライヴよりも荷物が多め。
午後3時にリハーサルスタートを各出演者に伝達をしていた。
この時間で遠路神戸、夜型のミュージシャンには過酷なスケジュールだろう。
8つのバンド・ユニットが集まった。
各バンド持ち時間30分でも、計算すると首尾よく進行したとしても終了時刻は、9時である。
拘束時間の暇を持て余して、演奏に支障をきたさないかも一部飲んだくれ諸氏を心配する。
出演者の事を危惧したが、肝心のお客さんの方が気にかかる。
オープンから入店ならば、5時間近く飽きさせることなく席を立たせないにはどうすべきか?
本番が近づくにつれて、そのことばかりを思案していた。
前の日記に書いた太郎君との前哨戦ライヴが、激しかったことも重なって、日曜日は朝5時過ぎには目がぱっちりと開いた。
目覚ましに、シャワーを勢いよく浴びる。
道中、頭の中はお客さんの入りの心配、30人を越える出演者の仕切りなどなどが巡っていて、車中のBGMに何を聴いて神戸に着いたかも覚えていない。
今回で第4回目を名乗っているこのイベント名も掘り起こせば、随分とさかのぼることになるのです。
少しその辺りの説明を・・・。
その頃の仲間のほとんども今回の出演メンバーに名を連ねているが、それにこんな仰々しいタイトルを名付けていた事を記憶している者は、いないだろう。
15年以上前、ボクたちは路上演奏に目覚めて、明けても暮れてもその快感にのめり込んでいた時期があった。
主立ったのは、大阪なんばの高島屋前、又は梅田阪急百貨店横の高架下である。
発電機にアンプ、ミキサー、スピーカー、ドラムセットその他備品一切合切をぎっしりと車に詰め込んで、仕事上がりの夜な夜なに集合していた。
それは、暑い夏も底冷えのする冬の日も同じだった。
松屋町の路地裏の地下にあった小さなバーを巣にしていた。
月に一回確か第二土曜日だったかにブルースのライヴを仕掛けていた。
その時ボクの手作りフライアーに入力したタイトルが、
『Blues Before Sunrise』だったのだ。
当初は、それこそ狭い狭い気の合うブルース好きな身内だけの集まりだった。
お客さんのほとんどが、「路上を観た」という人ばかり。
フライアーの地図を頼りに、まだ最寄り駅の無かったバーまでテクテクと徒歩で来てくれていたのだ。
今なら、そんな大事なお客さんに丁重な御礼をするところだが、若気の至りかな気づく者は居なかった。
好きな事を散々やっても許される時期が途切れる時がやってくる。
路上演奏の取り締まりの強化、そして巣食っていたバーの閉店と重なり、『Blues Before Sunrise』はボク以外の記憶からは徐々に消えて行った訳だ。
だから個人的にその後もこの代名詞への思い入れは忘れる事の出来ない物になった。
いつか再開をしたいと長い間内心温めていた。
2005年その機会が降って湧いた。
本町のジャズクラブを紹介された事がきっかけである。
ダンススペースがあって、DJ機材もある環境に惚れ込んで、貸し切りイベントを後先も考えずに決める。
勿論、タイトルは温めていた『Blues Before Sunrise』
ボクのえせDJとバンド演奏で「ブルースで踊ろう!」という企画。
そして準備段階に或る友人からの進言が、「イベント宣伝の為にブログを書いたら?」
それが、今このページを開いて下さっている小生の稚拙なブログなんです・・・ね。
第2回目も、同所で開催。
まだこの時点でも松屋町のあのバーでやっていた身内の延長線にあった訳です。
その後、急にボクのあまのじゃくなお尻が重たくなって、4年余りの空白状態に・・・。
費用対効果を考えると、気軽に企画出来る代物では無い事が主な原因のひとつでした。
その間に、南森町のシカゴロックという小さなブルースバーに居場所を見つけて、土曜日の夜は朝までジャムセッションに明け暮れる事に。
相変わらずの井の中の蛙状態が、徐々に変化を生みます。
ジャムセッションという場です。
輪が少しずつ広がっていく・・・。
で、また野心が芽生えてきます。
2年前に第3弾を企画。
選んだ場所は、ボクがブルースという音楽に初めて出逢った場所、堺のサムズレコードのレッドハウス・スタジオです。
チケットのモギリからドリンク販売までを仲間が分担するというスタイルを試みます。
そしてこの時に、身内中心ではないバンド構成にチャレンジしたのでした。
あれから2年、今回の第4回目を思い立った時には、ジャムセッションを通じて様々な人との出逢いが生まれていたのです。
と、企画者と名乗る様な高い志を持ち合わせている訳ではありません・・・。
ただ、今だ!と思い立つ瞬間がどういうわけだか、出現するんですね?
今年がその年だったということです。
絶好のタイミングは、重なるものです。
当初抱いた予想よりも膨れ上がる
第4回の後記を次のページにて。