膝の骨折からもうすぐ4ヶ月。
職場復帰して2ヶ月、リハビリも着実に進み、ほぼ傍目には歩いていても正常に映るくらいに回復。
但しまだ、あぐらをかくことは出来ず、ましてや正座など出来るのはいつになることか・・・。
階段の上り下り、特に下りは慎重に一歩ずつ。
それでもライブ活動にもほとんど支障は無くなった。
晴れ晴れとした気持ちになるところだが、東北で続く現状を見聞きする度に、その狭間で感情は揺れ動いてやまない。
この戦後最大の国難とも言える事態に、治まらない憤怒の矛先を誰かに向けても事は好転しないだろう。
「一致団結」を合い言葉に、前を見据えて自分が何が出来るのかを真剣に考えることしか今は思い浮かばない。
「街歩き」は小生の楽しみのひとつだ。
これは、このブログを書き始めてから生まれたといっていい。
ネタが尽きた時には、恰好の材料になるからだ。
普段なら変哲も無い街角を注視しながら歩くと、「あれ?」と思う事に時折遭遇する。
始めて訪れる街や旅先では、なお目を引く事が多い。
(結局、昨年の怪我の原因も元を正せばここにあるから、痛し痒しだが)
土曜日の三重県松阪行きは、半年ほど前から決まっていた。
決まったその時から、松阪の街歩きの想像をして楽しみにしていた。
「関口宏の100人に聞きました」なら、松阪と言えばの問いには大多数が「牛肉!」と答えて、質問にならないだろう。
同じくボクも真っ先に、
「松阪行くなら松阪牛が食いたい!」と家人に嘆願した。
有名グルメサイトなどで検索したら、出るは出る出る「松阪牛焼き肉」「松阪牛しゃぶしゃぶ」の文字。
ところがどっこい「松阪牛」を甘く見ていた・・・。
桁がひとつ違う。
松阪牛の特Aランクのロースのあのとろける食感を知っている者としては、
「地元やったら大阪よりも安いんちゃうか?」という期待を持っていたがそれは脆くも打ち砕かれた。
松阪牛コロッケなんかに一気に妥協してランクダウンするのも何だか余りに悔しいではないか。
松阪牛でネット検索したら真っ先にヒットするのが、「牛銀」という屋号だ。
明治創業の老舗らしく、本店隣の系列店に洋食屋さんがあるらしく、ランチならここは少しはリーズナブルな値段設定。
ライブのリハーサルは3時からなので、昼前に松阪入りして、その洋食を食べてから近隣の城下町を散歩、会場のマクサでメンバーに合流という算段だった。
伊勢自動車道松阪のインターを下りたら、すぐに牛銀の看板が矢印付きで目に飛び込んで来た。
事前にプリントアウトして持参していた案内図も要らない。
道路沿いの電柱全てに牛銀の看板文字。誘導されるがままである。
到着した牛銀は老舗に相応しい古い日本家屋であったが、本店前の駐車場はすでに満車、店の前には人が溢れ返っている。
少し離れた第二駐車場に向かうが、ここも満車だ。
他に知る店も無いので、駐車枠が空くのを少し待つ事にする。
ようやく1台出て行ったので無事に駐車を終えて、牛銀へ歩く。
行列の人達の考えはどうやら同じらしく、本店の目を剥く様な金額のお品書きは素通りして、隣の洋食屋が目当ての様だ。
順番待ちの用紙にカタカナで名前を書き、待つ事にした。
呼ばれるまでの間、界隈を少し歩く。
本居宣長の生家があったり、三井家に代表される松阪商人の記念館も近辺にあるらしいが、ゆっくり足を伸ばす時間は無い。
知らない街のふとした光景を見つけるのは楽しい。
周辺の家の軒先に何故か、正月飾りが吊るしてある。何か謂れがあるのだろう。
さて1時間は待った。
さっき書いた名前までいっこうに進んでいない。これは想定外だ。
用紙の上に、90分待ちの文字が殴り書きで小さく貼ってある。
腕時計で逆算しても、お店のテーブルに着く頃には制限時間だ。
決断は早いにこしたことはない。タカギ(3名)の文字に二重線を引っぱって、牛銀をあとにした。
「あ〜〜〜松阪牛が〜〜〜〜」
マクサへ向かう幹線道路沿いの某ファミレスに飛び込んで、1歳の息子にキッズランチを食べさせながら、「これじゃ、大阪と同じや」と遅い昼食。
松阪の街歩きは、こうして幕を閉じた。
・・・・・。
ライブ後、他のメンバーは大阪、京都へとんぼ返りしたが、小生一家はアイパー大西宅へ泊まりの用意を済ませて来てある。
松阪からアイパーの住む伊勢へ。
30分〜40分の道中の間で、すっかり我が子もアイパーの二人の子供も深い眠りに落ちていた。
一夜明けたら、アイパーも小生もすっかり休みの日のお父さんだ。
朝食を食べ、キャッキャと3人の子供達の相手をする。先輩パパのアイパーは、仮面ライダーの最新情報に明るい。
「タカギさんもそのうち絶対おぼえなあきませんよ」と教授されるが・・・ん〜〜〜最近の仮面ライダーはややこしいそうだ・・・。
夜に降ったらしい雨も止んでいたので、「フリーマーケットやってますわ」アイパーの号令で外出。
息子用にセサミストリートのバッグを600円で購入。
昼は、伊勢方面へ戻って、うどん屋さんで腹ごしらえ。
詳しくは書けないが、アイパー夫妻と小生夫妻は共に同じ様な縁で出逢い、また同じ年の数週間違いで夫婦になったという偶然がある。
だからきっと、こうして離れていても公私ともに一生の付き合いになるだろう。
それを証明するかの様に、普段は寝床が変わるとあまり眠れないボクも、川の字になってアイパー家族よりも遅くまで熟睡させてもらった。
帰りの山越えの名阪国道のサービスエリアからの眺め。
「次こそは、地元松阪牛、本店で喰ってやるぞ!」と誓うのでした。